真夜中の向日葵
「なんだ?」

「族だよ。これからがおもしれーんだよ」



幸喜はそう言うと、座っていたガードレールから立ち上がる。

あたりを見ると、アーケードにいた連中が蜘蛛の子を散らすようにして去って行く。


あぁ、なるほど。

暴走族が来たから、みんな絡まれないように逃げるんだな。


次第に近づいてくるバイクの集団と暴走音に、僕はそう思った。

幸喜と健二に連れられて、僕は路地裏から国道の様子を伺った。


派手に改造されたバイクと車を走らせる暴走族の後ろからはパトカーが追ってきていた。


なんだ、警察に追われているだけか。

予想が外れて、僕は少しガッカリする。



『止まりなさい!そこのバイクと車、止まりなさい!』



素直に従うわけがない。

暴走族集団に向かって叫ぶ警察の声がむなしく響き渡る。

< 15 / 169 >

この作品をシェア

pagetop