真夜中の向日葵

捕まるのか、振り切れるのか。

ハラハラした気持ちで見ていると、走り屋と思われるスポーツカーが数台、パトカーを塞ぐようにして止まった。


キキキーッという耳を切り裂くようなブレーキ音。

まるでアクション映画を見ているような気分だった。

心臓がドキドキして、僕は唾をゴクリと呑み込んだ。


スポーツカーがパトカーを強引に制止させると、暴走族はクラクションを何度も鳴らして走り去った。

それを見届けると、スポーツカーの集団は大きくUターンし、猛スピードで二手に分かれて走り去って行った。


後に残るのはパトカーだけ。

ほんの少しの間止まったままのパトカーは、思い出したようにして走り出した。



「すげぇ…、すげぇ!」



初めて目の当たりにした光景に、僕は感動してしまう。

どう見ても、悪い行為なのに。



「あの走り屋連中と族は、仲間じゃないんだぜ。ここで顔を合わす程度の関係なのに、こういう非常事態になると協力し合うんだよ」

< 16 / 169 >

この作品をシェア

pagetop