真夜中の向日葵
捕まるのか、振り切れるのか。
ハラハラした気持ちで見ていると、走り屋と思われるスポーツカーが数台、パトカーを塞ぐようにして止まった。
キキキーッという耳を切り裂くようなブレーキ音。
まるでアクション映画を見ているような気分だった。
心臓がドキドキして、僕は唾をゴクリと呑み込んだ。
スポーツカーがパトカーを強引に制止させると、暴走族はクラクションを何度も鳴らして走り去った。
それを見届けると、スポーツカーの集団は大きくUターンし、猛スピードで二手に分かれて走り去って行った。
後に残るのはパトカーだけ。
ほんの少しの間止まったままのパトカーは、思い出したようにして走り出した。
「すげぇ…、すげぇ!」
初めて目の当たりにした光景に、僕は感動してしまう。
どう見ても、悪い行為なのに。
「あの走り屋連中と族は、仲間じゃないんだぜ。ここで顔を合わす程度の関係なのに、こういう非常事態になると協力し合うんだよ」