真夜中の向日葵
答えたのは柚羽さんだった。


死んだもの同士、永輝さんは柚羽さんの死を知っているのかと思ったけれど、それは単なる憶測にすぎなかった。



「なんで…」



驚きを隠せない永輝さんだったけれど、言葉だけは動じず冷静だった。



「ベランダから落ちちゃって。ドジでしょう?」



決して、かんなさんとのことを話そうとしない。

柚羽さんは、ただ笑うだけだった。


かんなさんが絡んでいるんだよと、声を大にして言いたかったけれど、僕は口をつぐんだ。

永輝さんと柚羽さんがやっと幸せになれた。

それだけでじゅうぶんじゃないかと、自分に言い聞かせた。



「……晶」



永輝さんが僕を見る。

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