真夜中の向日葵
第1章―最後の夏―
・失恋・
「……だから、ごめんね」
真夏の太陽がじりじりと照りつける中、セミの鳴き声が鬱陶しく響く。
高校最後の夏休みを目前に控えたある日。
大好きな彼女・玲奈とたくさんの思い出をつくろうとしていた僕は、たった今、別れを告げられた。
「……ウソだろ?」
男のくせに、僕は情けない声で、玲奈に確かめる。
そうなるのも無理はない。
昨日の夜まで僕たちは、誰が見ても羨むようなカップルだった。
昨日の夜2人で花火をした後、当たり前のようにキスをした。
玲奈に「好きだ」と言ったら、玲奈もまた「あたしもよ」と笑ってくれた。
別れの前兆が全くなかっただけに、僕は玲奈の冗談に違いないと思った。
「ウソじゃない。あたし、好きな人がいるの。それは晶じゃない」