真夜中の向日葵

「いや、ちょっとトイレ行ってくる」



それなのに。

僕の予想に反して、あの子は先週と同じ場所にいた。


僕はトイレに行くとウソをついて、真っ直ぐにその子の方へと歩いて行く。



……行って何をするつもりなんだ?

別に、ナンパするわけじゃない。

ただ、場違いなあの子に、誰を探しているのか聞くだけだし。

けど、見ず知らずの男から声かけられたら警戒されるだろうなぁ。


いろんなことを考えながら、その子に近づく。



「………?」



そばに来た僕の視線に気付いたのか、彼女は眉間にシワを寄せ、首を少し傾げた。

その表情を見て僕は焦る。


ヤバイ。

どうしよう。

何て言おう。

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