真夜中の向日葵
第2章―彼女―
・柚羽・
「……永輝って…?」
やっとの思いで出てきた言葉。
実は僕が何も知らないということを悟ると、彼女は掴んでいた僕の腕からそっと手を離した。
「……ごめんなさい」
あの怒りに満ちた表情からは想像できなかった彼女のうつむく顔。
僕よりずいぶんと背の低い彼女の顔は、目元しか見えなかった。
それでも、彼女が今にも泣き出しそうな顔をしているのが分かった。
「いや、いいよ…。謝らないで」
そんな彼女を見て、僕は、ただの人探しなんかじゃないと思った。
「永輝って人を探してるの?」
僕がそう聞くと、彼女は力なく、小さく頷いた。