真夜中の向日葵

だけど、否定も空しい。

初対面の彼女に声をかけてきた時点で、彼女からしてみれば僕はただのナンパ男だ。



「ただ君が、悲しそうに国道を見ていて。気になって。誰か探してるのかな?って思って」



言い訳しているみたいだったけれど、それが本当の気持ちだった。

彼女は必死に弁解する僕を見て、吹き出した。



「分かった、分かった。もう、いいって」



そう笑うけれど、彼女の目は憂いを帯びたままだった。

表面だけの笑い顔は、見ているだけでつらくなる。

無理して笑うことないのに……。



「……でも、ちょっとだけ落ち込んだ」



国道を走る車に再び視線を向けて、彼女は淡々と話し始める。

< 27 / 169 >

この作品をシェア

pagetop