真夜中の向日葵
「この人、永輝のことを知ってるんだって思った。やっと会えたって思った」
「……ごめん」
「責めてるわけじゃないから。自分の早とちりに落ち込んだって意味よ?」
彼女と永輝という人。
2人の間に何があったのか、僕は知りたかった。
けど、それを聞けば、彼女はまた泣きそうになるんじゃないかと、僕は自分の欲望を懸命に抑えた。
「名前、なんていうの?」
振り返ってきょとんとする彼女に、僕は「君だよ、君」という仕草で指をさす。
「柚羽。沢井柚羽。……あなたは?」
「晶。槙村晶」
そう名乗ってすぐ、僕は「ナンパしてるわけじゃないから」と付け足した。
彼女…柚羽は、「分かっています」と、渇いた笑みを浮かべた。