真夜中の向日葵
咄嗟に両耳を触る僕を見て、柚羽さんは「君っておもしろいね」と笑った。
――♪♪~~♪
ジーンズの後ろのポケットに入れていた携帯の着メロがバイブに合わせて鳴り響く。
「あ、ごめん」
僕はそう言って、着信表示も確かめずに携帯を耳にあてる。
『おまえ、どこにいんだよー!!!!』
大きな叫び声に僕の耳はキーンとなり、声に押されるようにして携帯を耳から遠ざける。
その声は柚羽さんにも聞こえていて、彼女はビックリしたように僕を見る。
「ごめん、トイレ混んでて」
『ばーっか!すぐ戻ってこい!心配してたんだぞ?』
声を落とすことなく、幸喜は叫ぶようにして怒鳴りつける。