真夜中の向日葵
「本当?」
「うん。さっ、早く行かないと」
柚羽さんはそう言って、僕の背中を押した。
僕は後ろ髪を引かれる思いで、その場を後にした。
戻った僕は、迷子の子供が見つかった母親のように幸喜から怒られた。
健二は父親のように「まぁまぁ」と幸喜をなだめる。
「しかし、えらい長かったなぁ」
「まぁ、コンビニのトイレって1つしかないしな」
僕は柚羽さんのことは言わなかった。
きっと彼女も、誰かに知られることなんて望んでいないだろうから。
僕は、柚羽さんがいた周辺を何度も振り返りながら国道を後にした。