真夜中の向日葵

柚羽さんは遠い目をして国道の方に視線を向ける。



「あたしと永輝が出会ったのはね、バイト先のコンビニだったんだ」



記憶を辿りながら、柚羽さんは淡々と話していた。

聞いている僕の方はたまったもんじゃなかった。


ムカついたり、泣きそうになったり、幸せな気分になったり。

いろんな感情がぐちゃぐちゃになってしまった。


出会った瞬間に、永輝さんを好きになった柚羽さん。

そんな柚羽さんのアパートを訪れるようになった永輝さんには、元カノのかんなさんがそばにいた。

かんなさんは永輝さんとの別れを受け入れきれずにリストカットを繰り返す。


それでも柚羽さんたちは会い続けたけれど、ある夜、永輝さんは意味深な言葉を残して柚羽さんの前から姿を消した。

唯一の連絡方法だった永輝さんの携帯は解約されていたという。



何度も、『曖昧』という言葉が出てきた。

永輝さんの柚羽さんへの態度。

真夜中にしか会えなかった、永輝さんと柚羽さんの関係。

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