真夜中の向日葵
……全然、ダメじゃん。
僕はガックリと肩を落とした。
ジーンズのポケットに入れた、ヨレヨレになったメモ帳とペンを取り出す。
永輝さん探しに協力すると決めて、探偵気取りで買ったメモ帳とペン。
【遼太郎・永輝さんのいとこ=手がかりなし】
僕は下手くそな字で、ささっと書きなぐった。
「それは、なに?」
柚羽さんがメモ帳を覗き込む。
「人探しの必需品」
何の役にも立っていないくせに、僕は威張って言う。
柚羽さんは、僕からメモ帳とペンを取り上げると、
「あたしが書いた方が早いよ」
と言って、達筆な字でさらさらと流れるように書き始めた。