真夜中の向日葵

いや、正確に言えば、健二の兄ちゃんだ。



「おまえの兄ちゃんは今どこだ?」

「へっ?部屋…、隣の部屋にいる…けど?」



勉強を放り出して何をワケの分からないことを…と、幸喜も健二も唖然となっていた。

僕は「ちょっとごめん」と言って、健二の部屋を出ると隣の部屋をノックした。




「……んだよ?」



ノックした相手が健二だと思ったのだろう。

兄ちゃんは不機嫌そうに返事する。



「あの、すみません。健二の友達です」



僕がそう名乗ると、兄ちゃんがドアを開ける。

健二の兄ちゃんとは何度か会ったことはあるけれど、話すのは初めてだった。



「おう、悪かったな。健二かと思った」

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