真夜中の向日葵
「おい、晶?」
僕を追いかけるようにして、幸喜と健二が部屋から出てくる。
「ごめん、ちょっと兄ちゃんに用があるんだ。すぐ戻るから」
僕がそう言うと、2人は少し納得いかないような顔をして部屋に戻った。
「オレに用?」
「……はい」
「うーん…、よく分かんねぇけど、まぁ、入れや」
兄ちゃんは口をへの字に曲げて首を傾げると、僕を部屋の中に通した。
健二と同じようなコーディネートのその部屋は、兄ちゃんとは似ても似つかなかった。
兄ちゃんは趣味でバンドをやっていて、部屋のスミにギターが2台転がっていた。
「で?何の用?」
ベッドに腰を下ろし、足を大きく組むと、兄ちゃんは僕を真っ直ぐに見た。