真夜中の向日葵
僕の横で、スッキリした顔で兄ちゃんが言う。

『かんな』と『カナ』。

確かに、紛らわしいし、間違うのも無理もない。


やっと繋がったと思ったのに、プチンと音を立ててその糸が切れる。

まるで、谷底に叩き落されたような気持ちだった。



「あー、でも、かんなって子も知り合いにいるぜ?」



沈む僕に、思いもしなかった声が聞こえてきた。



「えっ?……今、なんて?」

「いや、だからさ、かんなって子が知り合いにいるって」

「ほ、本当ですか?」



詰め寄る僕に圧倒されたのか、ユウヤさんは2、3歩後ずさりした。



「ちょっ、近いって!」



ユウヤさんはそんな僕の姿に困ったような表情をする。
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