真夜中の向日葵
喉元まで出掛かっている、永輝さんの訃報。
僕は懸命に何度も呑み込んで、柚羽さんに話を合わせていた。
「あたし、イタリアに行ってみようかな」
柚羽さんがぽつりと呟く。
「もしかしたら、イタリアにいるかも。旅行とかじゃなくて、住んでいたりして」
精一杯、取り繕う笑顔に、僕の胸は痛む。
そんな僕の気持ちなんて柚羽さんは知らない。
「いくらぐらいかかるかな。あー、でも、永輝がイタリアのどこにいるか分かんな……」
「やめろよ!」
辛くなって、僕は柚羽さんの話を遮る。
あまりにも大きな声でストップをかけた僕に、柚羽さんはひどく驚いた。
「……晶…くん?」