真夜中の向日葵
国道から柚羽さんのアパートまでは結構な距離があった。

この距離を、柚羽さんはいつも、たった1人で歩いて来ていた。

薄暗い街灯がぽつんぽつんとある夜道は、余計に寂しさを増す。


その夜僕は自転車で来ていたから、柚羽さんを後ろに乗せた。

柚羽さんが後ろに乗る時の身体の重み。

華奢な身体から、その重みは何となく予想はついていた。

けれど実際に柚羽さんが腰を下ろすと、その重みは僕の予想をあっさりと裏切った。



「かるっっ!柚羽さん、ちゃんと乗ってる?」

「えー?乗ってるよ?……ねぇ、それって何気にイヤミ?」

「いやいや、マジで」



あまりにも軽すぎて、ちゃんとゴハン食べてるのかなと心配になる。


小さなライトが頼りなく夜道を照らしてくれる。

終わりを告げようとしている夏の夜風が心地いい。



「あ、ここ!」

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