真夜中の向日葵

「……あたし、吸わないわよ?」



灰皿をじっと見ていた僕に柚羽さんがコーヒーを運びながら言った。

カチャカチャとコーヒーを差し出す柚羽さんに、僕は「飾ってるだけ?」と聞く。



「ううん、これは永輝が使ってたの」

「…そう…なんだ」



何もかもが永輝さんと繋がっている。

それを知らずに聞く僕。

自分の首を自分で絞めているような気持ちになった。



「……晶くん……」



湯気の立つコーヒーを一口飲んで、柚羽さんが口を開く。



「ごめんね。面倒なことに巻き込んでしまって」

「……そんな、面倒だなんて」

< 83 / 169 >

この作品をシェア

pagetop