真夜中の向日葵
『死んだんだって?』
『そうなんだ』
『そっか』
そんな流れで話は簡単に終わる。
一歩、足を踏み込めば、そんなに簡単なものなんかじゃない。
しかも僕は、もう既にこの世にいないという現実を伝えきれていないのだ。
「もうすぐお盆だなぁ」
そう言って健二が、国道から歩道へと視線を移す。
健二の視線の先には、歩道の片隅に添えられた白い、小さな花が数本あった。
空缶を花瓶代わりにしていたその花が、誰かに手向けられたものだと言われなくても分かった。
「誰か、死んだのかな」
お祭りムードを壊さないように、小声で幸喜が健二に聞く。
「昔から死亡者が出る事故が多いみたいだぜ、ここ」
「あー、分かる気がするわ」