真夜中の向日葵
暴走するバイクや車。

それを追いかけるパトカー。

そんなことが当たり前になっている国道だから、僕も幸喜も納得した。



「あそこだけじゃないぜ?」



そう言って、健二が「そこも、むこうも」と歩道のいろんなところを顎でさした。

示されるところを目で追うと、いたるところに、小さな花が手向けられてある。

それだけ、ここで命を落とした人がいるということだ。



「もうすぐお盆だから、この時期は花を手向けるヤツが多いんだよ」



永輝さんも事故で死んだ。

永輝さんの好きな国道。


――もしかしたら永輝さんもここで……?


ポツポツと目につく小さな花。

そのうちの1つが永輝さんに手向けられた花だったりして…。


花を眺めながら、僕はそんなことを思っていた。

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