真夜中の向日葵

「どうした?」



素っ気無く聞く僕に、玲奈は『冷たいなぁ』と笑った。

慌てて僕は「ごめん、そんなつもりはないよ」とフォローした。



『あのね、晶。……あたしたち、ヨリ戻さない?』



2年近く付き合っていた大好きな彼女。

好きな人ができたからと、夏休み前に僕の前から去っていった彼女。


なぜだろう。

また付き合えることができたらと、そう願っていたはずなのに。


僕はYESという返事をすぐに返せなかった。



『……ごめん。あたし、勝手だね』



黙っている僕に、玲奈の力なく笑う声が聞こえる。

そんな玲奈に言葉をかけることさえもできなかった。


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