真夜中の向日葵

玲奈はさらに続けた。



『好きな人いるって言ったでしょう?晶と別れて、その人と少しの間付き合っていたんだけどね、なぜか晶のことばかり思い出すの』

「それは……」

『……晶?』



玲奈の沈んだ声が、期待に満ちた声へと変わる。

でも僕は………。



「別れてすぐだったから、誰にでもよくあることだよ」



非情にも、冷たく彼女を突き放した。



『……そう…だよね。やっぱ、無理?』



一瞬にしてまた沈む玲奈の声は、僕にもう一押しした。



「ごめん。無理だよ」



僕は、玲奈との復縁をきっぱりと断った。

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