幸せの契約
「まあ、簡単に言えばそうなるかしらね。あなた?」


「別に大きな金額じゃなくていいんだ。500万いや、300万くらいでいいんだよ。」


呆れて何も言えなくなった

私の背中に残る無数の火傷痕はこの二人が押し付けたもの



なのにっ…


私が金持ちと繋がりを持ったら手を返した様に金をせがむ…


「私はあなたたちに引き取られたことを一度も感謝したことなんかありません。」


今にも溢れ出しそうな涙を必死で堪える


「なんだと?」

牧野は一瞬にして鬼のような形相に変わった


「赤の他人のお前を引き取って高校まで出してやったのは俺だぞ!
その恩を忘れたのか?!」


バンッ!


牧野が力一杯テーブルを叩いた

ティーカップが大きく揺れて紅の液体が飛び散る


ビクッと身体が反応してしまった

過去に受けた行為が甦り私に恐怖を生み出す


“お前なんて只のゴミだ!”


“ほらっ!足を開け!このクズがぁっ!!”



思わず耳を塞いで歯を食い縛った


地獄の様な光景
体ははっきりと覚えている

「牧野様、お止めください。」


視界に飛び込んだのは黒い燕尾服

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