幸せの契約

｢平瀬さんの本当のお父さんのこと知りたくない？｣


歩き出した私に突然投げ掛けられた質問



思わず振り返ってしまった


ニヤリと得意気な笑みを浮かべる矢倉くん


｢平瀬さんの本当のお父さん。俺がその人の事知ってるって言ったらどうする？｣


挑発的な言い方


｢そんなこと…あるわけないじゃん!｣


強気な言葉とは裏腹に
私の心は頭は激しく動揺する


施設に預けられる前の事はなにも知らない



ただ
私と一緒にあった置き手紙に私の名前だけが書いてあっただけ…



存在することすら信じられない


親の姿なんて空想の産物