幸せの契約
「一つは…うちの会社は去年に萩乃宮コーポレーションに支援を打ち切られて、今や倒産寸前だってこと。」


ゆっくりと
矢倉くんの右手が私の髪を鋤く


「もう一つは…君の里親に頼まれたからかな?」



なに?

思いがけない言葉に思考回路が遮断される



「鈴ちゃんの里親が経営する会社は大事な取引先なんだよ。
この前、商談の時に萩乃宮財閥の御曹司が君にベタボレで、豪邸に住まわせて可愛がってるってね?」



あの日
アイツらが屋敷に来たことを思い出す


“このままで済むと思うなよっ!”



言葉がよみがえった


「その後にあの合コンで鈴ちゃんと出会って、その直後にあの写真を見つけた。
神様の思し召しかな?」



矢倉くんの手がゆっくり下に降りて
鎖骨をさ迷う


吐き気がする

気持ち悪い手の動きに無意識に私の体を振るわせる
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