幸せの契約
「やめっ…て!」


体をよじっても拘束された手足が虚しく痛む


「萩乃宮財閥の御曹司の婚約者が傷物にされて、孤児で、虐待されていた。なんて世間に知れたら…由緒正しい元華族も面目丸潰れだよね?」




ガシッと私の両胸を鷲掴み満足げに笑った


「やっっ!触らないでっ!」

「普通この状況なら、怖くて声なんて出ないはずなのに、里親に強姦されただけあって慣れっこかな?」



「っつ…!」


悔しい


悔しい


私の傷を踏みつけて
あざけ笑って



私は


私の体は…もう傷物…


瞼にたまる涙



“鈴様は汚れてなんかいません。”



犬居さんの言葉が蘇る


“あなたには幸せになってほしい”


蔵之助さんの言葉

あんなに良くしてくれたのに…

私のせいで…萩乃宮に迷惑をかけちゃう



矢倉くんが乱暴に私の服を破いた



ごめんなさい…

蔵之助さん

大和さん



そして

犬居さん…
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