幸せの契約
カツカツ…


私をお姫さま抱っこした犬居さんがうずくまる矢倉くんに近づく


「くそっ…こんなことしやがって…。」



喰い縛るように言う矢倉くん


ガンッ!


犬居さんの磨き上げられた革靴が矢倉くんのみぞおちにめり込んだ


「ぐあっ…!」


苦痛に身を縮める


「おい、ガキ。
調子乗ってんじゃねーぞ?お前みたいなガキの策略なんてごみ以下だよ。うちはそんなんじゃ痛みも何も感じねーんだよ。

二度と鈴に近づくな。

もし、また何か鈴にしたら…会社ごとお前の財産すべてを灰にして…」



犬居さんが矢倉くんの髪を掴んで顔を持ち上げる


「生きたまま、体を切り刻んでやる…。」



何よりも恐ろしく
冷酷な顔の犬居さんをみて矢倉くんが恐怖に怯え出す


そんな彼を一人残して部屋を出ていく犬居さん


私は何も知ること無く
暖かい腕に抱かれていた
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