幸せの契約

階段を降りようとしたとき私の寝室のすぐ横のドアから犬居さんが出てきた


｢鈴様！？｣


私を見て驚く犬居さん

｢あ、おはようございます。昨日はありがとうございました。｣

私は何だか気まずくて
早口になってしまう


｢おはようございます。
ずいぶん早いお目覚めでございますね。

ゆっくりとお休みになれましたか？｣


いつもと変わらない優しい笑顔の犬居さん


｢…はい。｣


｢それは良かった。
このようなお時間にどこかにお出掛けですか？｣


心配そうな犬居さん


｢あ、いえ。
なんか…お腹空いちゃって…。厨房に行けばなんかあるかなぁって。｣


｢では私が朝食を作って参ります。鈴様はもう少しお休みください。｣


そっと
犬居さんの右手が私の左頬に触れる

｢鈴様。
もう二度と私に内緒であの様に一人で行動なさらないでください。

貴女に何かあったら…私は自分を許せません。

約束してください。
もう二度と私に黙って行動しないと。｣


真剣な眼差し
私はそっと犬居さんの手に自分の手を重ねた


｢はい。
約束します。｣


私の言葉を聞くと同時にとたんに笑顔になる



約束します

犬居さん


もう
あなたに黙って何処にも行きません

だから
どこに行くのもずっと一緒にいてください