幸せの契約
「ただいまぁ。」

大学から帰って玄関ホールに入ったとき私は目を疑った


「鈴様。おかえりなさいませ。」


由香ちゃんがいつもと変わり無く迎えてくれるのに


私の目はある一点に釘付け



「な…に…これ…?!」


それは
玄関ホールのど真ん中


天井に触る勢いでグンッと伸びた大きなもみの木だった



「クリスマスツリーでございます。」


横から犬居さんが教えてくれる



いや
わかってるんだけど…


私が言いたいのはそこじゃなくて


この尋常じゃない大きさ


「先程カナダから届きました。上質のもみの木です。
鈴様と飾りつけをしようと思って、待っていました。

……鈴様?おきに召しませんでしたか?」


由香ちゃんが驚き固まる私を心配そうに覗き込んだ
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