幸せの契約
しばらくの沈黙の後

大和さんは体をゆっくり離して私を覗き込んだ


初めて会った時と違う




仮面は無く
素顔が露になってる


濃いグレーの瞳
鼻筋の通った綺麗な顔


「どうした?いきなりで驚いたか?」



子供みたいに無邪気に微笑む


「か、海外に行ってたんじゃなかったんですか?」


「クリスマス休暇だよ。欧米では常識さ。
それより、鈴、ヘリを用意したんだ。クリスマスイルミネーションを見に行こう!」


グイグイ私を引っ張って歩き出す


犬居さんがそっと肩にコートを掛けてくれた


「いってらっしゃいませ。」


頭を下げて見送る彼がなんだかとても恋しく想えて


私はコートの袖を握りしめた
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