幸せの契約
「犬居のことでしょ?」


突然の言葉に私は目を丸くして大和さんを見た


「その顔を見ると図星だね。」


軽くため息混じりに大和さんが言う


「なんで…?」


「犬居と踊っている鈴を見れば誰でもわかるよ。

鈴は…犬居が好きなのか?」



ドクンッ


体が熱くなるのがわかる


大和さんは全部わかっていたの…?



私の気持ちも…?


どうしよう


なんて答えればいい?


心のまま伝える?


ドクンッ


私は大きく息を吸い込んだ


「大和さん。
ごめんなさい。
私は犬居さんが好きです。だから、大和さんとは結婚できません。」


濃いグレーの瞳が一瞬震えるのがわかった
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