幸せの契約
「それに、鈴様は私に気を遣ってくださいます。

今までそんなことをされたのは初めてです。

私のような下のものにまで丁寧に話しかけていただけるのは嬉しいです。」



私には当たり前のことなのに…


それでも
田中さんがいる世界では意味があることなんだ



「犬居さんは…私にどうして仕えるんですか。」


さっきよりも早く
田中さんの声が返ってきた


「犬居さんは、スチュワートの芳賀さんの元で何年も厳しい下積みをし、その後イギリスの旧侯爵家で使用人仕えをし、日本に帰ってきて初めて執事という役職と鈴様と言う主人を持ったんです。」



「執事って…役職なんですか?」



誰でもなれるものじゃないの?


「執事とは私たち使用人の管理職でスチュワートの次に権威があるです。

このお屋敷にはスチュワートはいませんので、犬居さんが私たち使用人のトップになります。」



そうなんだ


全然知らなかった


使用人にも階級があるんだ

犬居さんがそれほどまでに凄いなんて


私なんかに仕えてて嫌になるんじゃないかなぁ


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