幸せの契約
「田中さんとは歳も近いし、仲良くしたいの…。
だからこれは私のお金で買ったんだ。」


田中さんの目に涙が溜まっていた

震える手でピンクの袋を開ける


チャリ…


中にはフェイクのブルーダイヤと小さな鍵のついた銀色のブレスレット


「これを…私に?」


大きく見開かれた瞳に
ブレスレットが写った


私は大きく頷いて
左腕を出した


「お揃い。」


私の手首に光る
ピンクダイヤがついた銀色のブレスレット


「鈴様!!」


田中さんは私の手首のブレスレットを見るなり

いきなり私に抱きついた


「えっ?!
なに…ちょっ…え?!」


動揺する私


「なにをしているのですか!田中!」


犬居さんが田中さんを私から引き離そうとする


「やめてください。
私は大丈夫…。」


犬居さんは私の声に動きを止め
心配そうに見守る


田中さんがゆっくり私から離れた

涙に濡れた瞳が
微かに微笑む


「鈴様のお気持ち…ずっとずっと大切にします。
私は田中由香です。


改めて、心より鈴様に使わせていただきます。」


キチンと丁寧にお辞儀をする由香ちゃん


「これからは由香ちゃんって呼んでもいい?」


私の言葉に
由香ちゃんはさらに深く頭を下げた


「もちろんです。
マイロード。」



こうして
私の大切な人が

1人
1人

増えていった
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