幸せの契約
食堂では由香ちゃんがテーブルセッティングをしていた


「鈴様、お加減はいかがですか?」


心配して駆け寄ってくる


「大丈夫。
それより、喉乾いちゃって…。何かある?」


カラカラの喉からは声がかすれる


「只今お水を。」

由香ちゃんは厨房へ向かった


「鈴様、お掛けください。」

犬居さんに促されて
席に座った


それにしても
広いテーブル


私しかこのテーブルで食事しないなんて…


「あの、今日はみんなで晩御飯を食べませんか?」


犬居さんにお願いする


いつもなら

使用人と主人が同じ席で食べるなんて…

って
もう反対するからなぁ


何も言わない犬居さんに
私は風邪で潤む瞳を向けた


「…かしこまりました。
本日はそういたしましょう。只今から準備いたします。」


犬居さんの笑顔が物語っていたのは


“しかたないなぁ”

の一言



それでも
私の提案を素直に聞いてくれたことが嬉しくて驚きだった
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