死神と自殺志願少女
「なぁ、公園に行きたいんだけど…



この辺だとどこが近いかわかるか?」


公園とはまたデートスポットとしてベタな場所だな、

と思いつつ、

頭の中でこの周辺の地理情報を考える。


「この辺からだと…

あの公園が近いかな?

次の路地を右に曲がって…」

「あー、口で言われてもわからないって。

実際に案内して」


しょうがないなぁ…

とか口では言いながら、

私はそんなに悪い気はしていなかった。



死神の癖に道がわからないというのはなんか面白かったし、


何より生きる希望を与えてくれたこの人に、

少しでも恩返しがしたかった。



…まあ、公園までの案内なんかが恩返しになるとは思ってないけど。
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