好き?
「いってきまーす」
「あら、どこ行くの?」
お母さんに呼び止められる。
「友達と買い物に」
「遠くへは行っちゃだめよ」
「うん、わかってる」
・・・。
危なかった。
私のお母さんはとても厳しい人で、男の子と遊びに行くなんていったら私は一週間は外に出してもらえない。
「はあ・・・」
ため息をついて電車に乗る。
電車に乗っている時、昔の事が思い出された。
そういえば、本当に一度も屋上以外であったことはなかったな・・・。
お母さんに見つかったらまずいから。
でも今日は、お母さんがめったにこない遠いところなので、安心して出てこれた。
中学生の頃、私にお金があったらなー・・・
そんな後悔をしていると、あっという間に駅前の噴水にるいた。
「誰もいない・・・」
自分の腕時計を確認する。
一時間の、遅刻。
「帰ろうかな・・・でも、せっかくここまできたんだから・・・」
探したほうがいいのだろうか。
今帰れば、さとしさんと李亜が楽しそうにしているところを見なくてすむ。
・・・帰ろう。
そう決めた時、現れたのは、さとしさんだった。