好き?
その人は時計をはさんで後ろにいた。
「すっぽかされたかな~・・・」
私と同じ状況な人もいるんだな、と思った。
ん?ちょっと待って??
同じ、状況??
まさか、今日の相手ってこの人??
「さとしさんの、友達?」
「え?あ、李亜ちゃんの友達?」
「あの、ごめんなさい私・・・」
「いや、俺も今来たところだから」
「いえ、そうではなくて」
私は一生懸命後ろにいたことを説明する。
信じてくれるかどうかは、わからないけど。
「え・・・うっそ!まじ!?なんだ、俺らただの馬鹿じゃん・・・」
そんな相手の男の子を見て、私は思わず笑ってしまった。
「あはははっ!」
「何笑ってんだよ。」
「だって・・・!」
後ろにいたことを、二人ともきずかないなんて、確かに馬鹿かも。
そう、思ってしまった。
「私凛月凛(りんづきりん)、よろしく」
「俺は元川光(もとかわひかる)。光でいいよ。俺も凛って呼ぶからさ」
私は黙った。
私は今まで、さとしさん以外の男の人とあまりしゃべったことがなくて。
ましてや呼び捨てなんて、したこともされたこともなかったのに。
いきなり、呼び捨てなんて・・・。
「どうしたの?凛」
「な、なんでもない。光さんは「光!」」
光って呼べということなのだろうか。
「光さん・・・」
ほんのささいな事だけど、初めては全部、さとしさんがよかった。
名前を呼び捨てにするのさえも・・・。
さとしさんが、初めてがいい。