好き?




「ひかるさん、ひかるさん!」




返事をしてくれない。
こっちを向いてくれない。

これじゃあらちがあかない。




「ひ、ひかる!」




私は堪忍して名前を呼んだ。




「なーに?」




自分で呼んでおきながら、すっごく恥ずかしかった。
おもわず、しゃがんでしまった。

耳まで真っ赤なのが自分でもよくわかる。




「ちょ、凛!?顔真っ赤だけど熱でもあるの!?」

「ない!なんでもない!」




あなたのせいでしょ。
そう言いたかったけど、さすが初対面の相手にそういうことを言うわけにもいかず。




「ど、どこいこっか??」




無理やり話題を切り替える。




「じゃあ、定番の遊園地でも」

「うん・・・」




男の子と二人で歩くのも、どこか行くのも初めてだ。

ああ、


どんどん『初めて』が奪われていく・・・。






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