好き?


「…い、嫌。」



ここから離れたかった。
さとしさんと一緒にいるのはすごく嬉しい。
でも、同時に、すごく、つらい。



「光のこと…呼び捨てにするな。」



嫌といっているのに、さとしさんは構わず話続ける。
あなたのそういう強引なところ、大好きだった。



「私の、勝手でしょ。」

「ダメだ。やめろ」

「……。」



そんなこと言われると、期待しちゃうよ…。
まだ、私の事が好きなんじゃないかって。

だから、やめてよ。

好きじゃないんだったら、期待させるようなこと言わないで。



「どうして…そんなこと、言うのよ。関係ないじゃない!」

「関係あるだろ!」



だって、もう終わったことなんでしょう…??



「私は…まだ、好きなのに…!そんな事言わないで…!」

「……。」

「ねえ…なんであの時、別れたの!?嫌なところがあったら直すよ!だから、もう一回…付き合って…。」



必死だった。
帰ってくる答えは、わかっているのに。



「…駅前のコンビニ」



駅前のコンビニ?
もしかして、そこに光がいるってこと??

行けって…事?



「…さよなら。」



本当の事言うと、はっきりごめって、嫌いになったって言われなくて、ほっとしてる。
そんなこと言われたら、私は本当に、だめになってしまいそうな気がする。

さよなら。

もう会わないっていう別れの挨拶。
でもやっぱり、すぐに諦めるなんて、無理。

もう少し、もう少したったら諦めるから。
それまで、好きでいさせてください…。






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