【詩集】水のない海を泳ぐように
これが罰ならば 甘んじて受けよう
彼女は言った
喉を潤すこともなく
擦りきれた肌に構うことなく
ただひたすらに徘徊する
これが罰ならば
生を受けた罰ならば
「ここは海だ」
わたしは わたしを騙し
「麗しき大海原だ」
また あなたをも騙し
あるはずのない波に 呑まれるフリをして
わたしは 泳ぎ続ける
わたしにとっての この世界が
わたしの瞼の向こうに
隠れてしまう その瞬間まで
『水のない海を泳ぐように』
彼女は虚構の海に 飛び込んだ