【詩集】水のない海を泳ぐように


初雪とともに舞い降りた
粉砂糖のようなユキ

薄く地を覆っていたら

きみの手に 掬われて
形作られた

わたしは命を与えられ

心をもち

恋を知った


叶うことのない願いを込めて

次々と 雪を落とす空を見上げて祈った


雪よ 止まないで
果てしなく降り続いて

いつまでも

きみのそばに いられますように


わたしはきみから命をもらい

恋心を学び

「終わり」に怯えた


いつの間にか雪は 消えていく

温もりを求めて 消えていく


わたしの体も 消えていく

心を残して 消えていく


初雪とともに きみと出逢った


淡雪のころに
わたしは 溶けます


また来年、逢えると信じて

空に還るわたしは
眠るように瞳を閉じた






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