【詩集】水のない海を泳ぐように
いいかい、カラス
いくらお前が輝くものを好きだとしても
むやみに近づいてはいけない
いいかい、カラス
いくらお前が目を奪われるほど
鮮やかなものを見つけても
むやみにそのクチバシにくわえてはいけない
いいかい、カラス
浮かれていないで聴きなさい
間違っても
人間の瞳など口にすることの無いように
あれは猛毒だ
いいかい、カラス
騙されるな
―――――――
―――――
―――
そう言えば
そんな話を聞いたなあ
目が霞むのは
頭が痛むのは
喉が焼けるのは
そのせいか
だって仕方ないだろう
ワタクシはただ
美しいものに惹かれただけだ
そして身体中に毒がまわり
カラスは息絶えたのであった