【詩集】水のない海を泳ぐように
わたしはきっと壊れている
ジャムの瓶やら
お気に入りのマグカップやら
花柄のプレートやらを
投げつけたくなる
そんな時がある
きみもきっと壊れている
急に妙な歌を歌い出すし
捨てられた猫をあざ笑うし
木に張りつくツタを首に巻こうとする
きみはきっと壊れている
わたしももちろん壊れている
でも 世界はもっと
わたしたちなんて比にならないくらい
だから わたしは投げつけたくなる
この手に持つ 高価なワイングラスを
この 崩壊した世界に
わたしはきっと壊れている