灰色のセカイ

医師と美咲の両親

いつかの日


いつものように美咲の病室から出て言った時


久しぶりに美咲の両親に会った


父、雅弘
母、美夏子


メガネを掛けたおじさんはぼくの顔を見て
久しぶりだね
と言った


おばさんは美咲が眠るようになってから急激に老け美咲のように白くなっている
ついでにシワも目立つ

おばさんは頭を下げた

場所を変え応接室でぼくたちは話をした


「いつも来てるそうだね。椈里くんに聞いたよ」


おじさんはそう言ってから
すまないね
と呟いた


おばさんは手にハンカチを持って言った

「真くん、ありがとう
もし、まだ美咲を好きでいてくれてるなら…」

それから言葉を濁しながらもおばさんは言った


「結婚してあげてほしいの」


それを言うとおばさんは嬉しそうな顔で口走った

「美咲はいつ起きるか分からないけど、でもあなたたちも
もう21歳なんだし、結婚してもいい年頃なんじゃないのかな
て思ったの」


それはまるで
迫られた人間が切羽詰まった感じでぼくに言っていた


「あなたが結婚相手なら美咲も喜ぶと思うの
ねえ、どうかしら?」





「……医師になんて言われたんですか?」



その言葉が二人を硬直させてしまった


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