灰色のセカイ

「あと、1年もないかもしれません」



そう
医師に言われたらしい


美咲の担当医は本多という人だった

ぼくも本多さんを見たことはある

優秀な医師で若い
結構な男前で看護婦に人気がある



そんなことはどうでもいいか

本多さんは曰く
美咲の神経細胞が少しずつ弱くなってるらしい
CTスキャンで脳を調べた結果、脳幹の状態も悪くなってるそうだ

それを聞き
ぼくに結婚の話を持ち出したとのことだ



一瞬
呼吸困難になるところだった

一瞬
ぼくも死のうかななんて思ってしまった自分をブチのめしたいと思った


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