灰色のセカイ
友達と友達だったヤツ
尾野に屋上へ連れられた
ぼくは尾野の横に腰を下ろした
微かに尾野のナース服からたばこの臭いがした
「尾野は相変わらずの世話焼きだな」
「悪かったな」
尾野は少し赤らめながら言ってたばこを吹かした
相変わらず可愛いなー
少し沈黙が流れて
「お前はまだ惇を憎んでるのか?」
久しぶりに聞いたその名前が脳裏に顔を思い出させる
親友だった惇
親が離婚の話をし始め二人のどっちかがいなくなるのが辛く
家を出た
人と接するのが大の苦手なぼくにいつも一緒な、て
言ってくれた最高の親友
けれど
美咲を殺しかけた
幸い
別の最悪の結果になったけど
死んではいない
その時の惇は泣きじゃくり美咲の両親に謝っていた
ぼくにも
ごめん、ごめん
て何度も謝っていたことを未だ覚える