職場内恋愛
『でも僕、彼女と結婚したいんです。
別れたくなんて…ないんです。
どういう方法が1番いいのか考えると夜も眠れなくて…
で、昼間に睡魔に襲われちゃって。
どうすればいいんですかね…』
楠木先生は金網に額をつける。
もう負のオーラがムンムンじゃないか。
『先生は、その彼女のこと…愛してるんですよね?』
はい…と、いう弱々しい声が聞こえてくる。
『で、結婚したい』
『はい』
『絶対、別れたくない』
『はい』
『だったら…』
俺は楠木先生の肩に手を置く。
『だったら、はっきり言うしかないですよ。彼女のお父さんに。
自分は娘さんを愛してる。だから結婚したいんだ。って。
自分の意志は言葉にしないと相手には伝わりません。
いいんですか?
男ならやらなきゃいけないときがある。
それが今、ですよ』