職場内恋愛
「なんですか?」
月明かりに照らされた夜道。
山の中のせいか、街灯は少ない。
『今から俺は教師としてじゃなく、1人の人間として喋るから。』
そう前置きする。
「じゃあ私も」
奈々はそう言って俺のほうを向いた。
『俺らが別れてもう1ヶ月以上が過ぎた。
けど俺は、まだ…前に進めてないんだ。』
足を止める。
『前に進もうと思って、
自分を変えようと思って、
禁煙に挑戦してみた』
奈々は目を大きくする。
『でも、無理だった』
俺は中途半端な男。
自分で決めたことを最後までやり通せないんだから。
『なぁ…奈々
俺、自分を変えるのやめた。
だからあの頃と何も変わってない俺だけど、キモチもあの頃と同じなんだ。』
こんな未熟な言葉で奈々に、俺の想い…ちゃんと届くのだろうか。
『奈々、もう1度、やり直さないか…?』