職場内恋愛
「真、きっと心配なんですよ」
生徒達が山登りの準備をするために部屋に戻り、俺はあのままロビーにいた。
そうすると京地が座ったところに奈々が座ったのだ。
そしてさっき京地に言われたことを話した。
「私たちのこと、心配してくれてると思うんです。
いろいろあったの…知ってるから。
まあでもまさか見られてたとは…」
奈々はそう言って照れたように笑った。
心配…かぁ。
アイツ、俺たちのこと気にかけてくれてんのか?
生徒なのに?
俺たちより、年下なのに?
「真はそんなの気にしない子です。
誰にでも優しい。
ただ、ちょっと不器用だから言葉遣いは悪いけど。」
奈々に俺の考えていることが伝わったのか、奈々は穏やかな顔で言った。
「感謝してもしきれないです、真には。
だから今度はあの子に幸せになって欲しいです」
奈々はそれだけ言って立ち上がり、どこかへ姿を消した。
京地…俺、お前のことまだまだ理解しきれてないのかな。
奈々は京地のことなんでも分かってるみたいだ。
ごめんな、勘違いしてたよ。俺。
お前はホントはすっげぇーいいヤツなんだな。