職場内恋愛
『ふぅ~…』
少しの沈黙のあと、涼さんはゆっくり煙を吐き出した。
そして、遠くのほうを見つめ言った。
『それは…できない…な』
その瞳は何よりも悲しげで。
その奥に何があるのか気になった。
『残念だけどそれは力を貸すことはできない。』
そこで初めて涼さんは私の目を見た。
「知ってるんですよね?
今、美優さんがどこにいるのか。」
涼さんははぁ…と、溜め息をつく。
『優作には内緒だよ?』
唇に人差し指を当てる涼さん。
そして真顔になり、言った。
『俺は、優作が美優と別れてからも会ってる。
今でもたまに会ったりしてる。
でも、場所は教えられない。
優作にとって美優は消したい存在だと思うんだ。
それはきっと、自分のためじゃなく、奈々ちゃんのためにアイツは美優を忘れたいと思うから。
だから、教えられない。』
そう言った涼さんの目はとても真剣で。
何を言ってもダメかもしれない、
そう思ってしまった。